君にさよならを告げたとき、愛してると思った。



荷物でもまとめようと思い立ってはみたけれど、私の荷物なんて服くらいだった。実家に帰るだけだから、家具なんてなにひとつ持っていく必要はない。


段ボールを組み立てて寝室のクローゼットを漁っていると、奥から紙袋が出てきた。その中には、就職活動をしていた時に書いた履歴書が入っていた。


『まさか彼氏についてきたとか? 前にもそういう子いたけど、別れて辞めちゃったから。ちょっとねぇ』


そういえば、最初の面接でそんなこと言われたっけ。言われた通りになっちゃったな--。


ああもう、嫌だなあ。


こんな時、地元なら、友達に連絡をして栄まで飲みに行って、愚痴をこぼして慰めてもらって、彩乃なんかが『フミくん最低!』って怒ってくれたりして。


そうしたらスッキリするのかな。そうだよね、最低だよねって、この悲しみは怒りに変わっていって、現状を受け入れられたのかな。


わからない。だってここには急に誘えるような友達も、愚痴を言える友達もいない。


そんな友達がいたところで、郁也と過ごした時間を失う覚悟ができたのかは--もっとわからない。