君にさよならを告げたとき、愛してると思った。



自分から『さよなら』を伝えるなんて、そんなことできるわけがなかった。


だって私、そんなに強くない。郁也と過ごしてきた時間を、これからも共に過ごすと信じていた未来を失う覚悟ができるほど、強くない。


一ヶ月先まで仕事を辞められないなんて、そんな嘘をついてどうなるっていうんだろう。


ご飯を作ることよりも、笑顔で出迎えることよりも、一日でも早くこの家から出て行ってあげるのが、きっと今の私にできる唯一のことなのに。