君にさよならを告げたとき、愛してると思った。



あの日、空は雲ひとつない晴天で、この部屋には太陽の光がこれでもかというほど差し込んでいて。


空き地があることに気付かなかったのは、あまりにも眩しすぎたせいだろうか。


ご飯、作ろうかな。きっとまた、無駄になるだろうけれど。でも、もしもまた郁也がご飯を食べずに突然帰ってきたら困るし。


ソファーの横にバッグを置いて、キッチンにかけてあるエプロンをつけた。このエプロンも、郁也が選んでくれたんだっけ。


今日はなにを作ろうかな。そういえば、こないだあれ食べたいって言ってたな。作ったら喜んでくれるかな。例えあまり食べたい気分の物じゃなくても、きっと『うまい』って完食してくれるだろうな。


そんなことを思いながらキッチンに立つ毎日だった。ほんの数ヶ月前のことなのに、今はもう、遠い昔のことのように思えた。夢でも見ていたのかとさえ思う。


どんなに頑張って作ったとしても、『うまい』って完食してくれることも、きっともうない。私はもともと料理が得意なわけじゃないから、仕方ないけれど。


腰に手を回して結ぶ。さて、と冷蔵庫を開けると、ひんやり冷たい空気が私の顔を包んだ。


目から顎にかけて弧を描くように冷たくなって、涙が流れていることに気付いた。


「……あれ?」


どうして私、泣いてるんだろう。