君にさよならを告げたとき、愛してると思った。



そういえば学生時代は、いつも大学から家までの三十分間、一緒に歩いていたっけ。


郁也と一緒なら、二時間もあっという間に感じるのかな。さすがに遠いかな。


郁也はまだ、徒歩三十分の距離を一緒に歩いてくれるのかな。


南四条のファーストフード店でホットコーヒーだけ注文し、二階の窓際の席に座った。温かいコーヒーが、冷え切った身体の奥に深く染みていく。


ぼうっと窓の外を眺めていると、赤い帽子をかぶっている外国人の男の人が、笑いながらこちらを向いていた。


終電の時間をとっくに過ぎているというのに、すすきのの街はまだ賑やかで。


みんな、楽しそうだな。今日は金曜日だし、始発まで飲むのかな。カラオケのフリータイムでも行くのかな。そういえば私も、金曜日は彩乃と朝まで歌っていたっけ。


いつ連絡がくるかわからないし、私もカラオケに行こうかな。でも今は歌う気分じゃないな。


カラオケ、大好きだったのに。高校時代も大学時代も、彩乃たちとしょっちゅう行ってたな。最近はあまり行っていないけれど、どうして行かなくなったんだっけ。


ああ、そうだ。カラオケで歌うよりも、郁也のギターで歌う方が、何倍も気持ちよかったからだ。


最近、動画撮影してないな。いつからしていないっけ。