君にさよならを告げたとき、愛してると思った。



息が苦しい、身体に服がこすれて痛い。なにか食べて薬を飲まなきゃとは思うけれど、身体の節々が痛くて、だるくて、動く気力がない。


インフルエンザかもしれないし、病院へ行かなきゃ。夜間救急やってる病院、近くにあるのかな。あるとしても、とてもじゃないけど、ひとりで病院まで行ける状態じゃない。


とにかく寒気がする。ソファーの背もたれに掛けてあった毛布にくるまっても、身体がガタガタと震える。


あれ、寒いと熱上がるんだっけ。もうすでに三十九度を超えているのに、今より上がっちゃったら、私死ぬんじゃないの。


朦朧としながら、テーブルに置いてあるスマホを手に取る。画面のライトさえも目をひどく刺激する。


郁也は今日もご飯を食べてから帰ると言っていたけれど、早く帰ってこられないだろうか。


《熱が三十九度以上出ちゃって、だるくて動けないの。夜間救急に行きたいんだけど、早めに帰ってこれない?》


珍しくすぐに返ってきた返事に、一瞬たりとも安心はできなかった。


《みんなといるから、まだ帰れない》


……なにを言ってるんだろう。私が体調を崩した時でさえ遊びを優先するの?


《事情説明して帰ってこれないかな》


目を細めて画面を見ていても、既読がつくことも返信がくることもなかった。