君にさよならを告げたとき、愛してると思った。



酒好きの私たちは、それだけでも北海道へきた価値もじゅうぶんにあるね、と笑い合っていた。


札幌テレビ塔のビアガーデンでジンギスカンを食べた時は、臭みがないラム肉に感動してしまい、お腹がはち切れそうになるほど食べてしまった。


「とりあえず仕事決まったよ。派遣だけど」


「どこ?」


「大通のコールセンター。土日休みみたいだからいいかなと思って」


見ただけで新鮮だとわかるプリプリの生牡蠣に備え付けのレモンを絞り、箸ですくって一口で頬張る。生牡蠣がつるんと喉を通ると、次はキンキンに冷えた生ビールを流し込む。


ああ、幸せ。派遣ではあるけれど、やっと仕事が決まったという安心感もプラスされたビールは格別においしく感じた。


「テレアポ?なんか意外だな」


自分でも意外だと思う。学生時代にテレアポのバイトをしている友達はいたけれど、私には絶対に無理だろうなと思っていたのに。


でもコールセンターの求人が圧倒的に多かったし、電話だけじゃなく事務作業もあるみたいだから、事務経験も生かせると思った。そしてなにより、他の求人よりも圧倒的に時給が高かったのだ。


繋ぎになってしまうけれど、このままニートを続けているよりはずっとマシ。


「大通の何丁目?」


「四丁目」