帰り道、コンビニで缶コーヒーを買って大通公園のベンチに腰かけた。
せっかく大通まできたし、カフェでお茶でもして、パルコや札幌駅内のパセオで気晴らしにショッピングでもして帰ろうか。ついでにステラプレイスで映画でも観て帰ろうか。
いや、私はまだニートで、次の職のあてなんかないのだから、そんな無駄遣いをしている余裕はない。
いや、いくつか応募はしているけれど、また今日みたいな面接になってしまったらと思うと少し怖い。
--帰ろう。ご飯を作らなきゃ。
ベンチから立ち上がり、自販機の横に設置されているゴミ箱の丸い口に空き缶を入れる。手を離すと、カラカラと力ない音と共に、空き缶は暗闇に吸収されていった。
もう一度、郁也に相談してみようか。でも相変わらず残業や休日出勤が続いていて、毎日疲れているのに、こんな話をしてもいいのかな。
愚痴っぽくなったらどうしよう、郁也を責めてしまうような言い方になったらどうしよう。ただ質問に対して答えられなかっただけで、複雑な出来事があったわけでもないのに、うまく説明できる自信がない。
面接官の言葉が頭の中で何度もリピートされる。
『彼氏についてきたとか?』


