大通にあるカフェで時間を潰していた私に連絡がきたのは十七時。月に一度ではあるけれど、残業調整で定時上がりの日がある。その日は待ち合わせをして外食をすることにしていた。
カフェを出て会社の前まで行くと、ビルのエントランスからスーツに身を包んだ十人ほどの集団がぞろぞろと出てきて、郁也はその集団の中心で楽しそうに笑っていた。
こうして会社の前まできたのは三度目だけれど、郁也はいつもみんなに囲まれて、特に後輩には慕われているのがわかる。
大学時代からそうだった。第一印象はとっつきにくいけれど、それは単なる人見知りで。慣れるとよく喋ってよく笑う郁也は、いつも誰かに囲まれていた。
集団から抜けた郁也と合流して、すすきの方面へ歩いて行く途中にある、串焼きが安くておいしいと評判の居酒屋に入る。
郁也はいつも車通勤だけれど、月に一度のこの日はお酒を飲むために公共交通機関で出勤していた。
カウンター席に並んで座り、生ビールふたつと串焼きをいくつか注文すると、すぐに運ばれてきた生ビールを半分ほど一気に喉に流し込んだ。
「仕事が見つからない……」
はあー、と大きなため息をつくと、郁也は「だいぶ疲れてますね」と笑った。
「そんなに条件絞ってんの?」


