日付が変わる頃、ギターを置いて寝室へ向かい、同じベッドで、腕枕で眠る。
郁也は寝つきがいいから、必ずといっていいほど先に寝息が聞こえてくる。寝つきが悪い私は、その寝息を聞きながらうとうとし始める。
寝静まってしばらくすると抱きついてくる郁也の体温を背中に感じると、すうっと夢の中へおちていくことができた。
長年住んでいた、この先もずっと住み続けると思っていた街を離れて、家族や友達に会えなくなって、寂しさがないと言えば嘘になる。
でも、そんな寂しさを吹き飛ばして笑っていられるくらい、郁也と過ごす日々は幸せなものだった。


