君にさよならを告げたとき、愛してると思った。



ということは、引っ越しの準備だけではなく、荷ほどきも私がほとんどやることになるのか、と考えただけで身震いしてしまう。


初めての引っ越し作業は予想を上回る大仕事だったのだ。


「すすきの行ってみたい!」


けれど今は観光したい気持ちの方が圧倒的に勝っていた。


長旅で疲れ切っているからご飯を作る気力はないけれど、観光する元気はいくらでも沸いてくる。


北海道の春を甘く見ていた私たちは冬用の上着を持ってきていなくて、それが入っている段ボールが届くのは明日。


本当は公共交通機関で行ってお酒を飲みたかったけれど、最寄り駅の福住駅は東豊線といって、すすきのを経由するにはするものの、豊水すすきのという駅で繁華街からは少し外れた場所らしかった。


これから夜にかけてもっと寒くなるし、薄着のまま外を歩き回るのは自殺行為だから仕方ないねと車で行くことにした。


すすきの付近の有料パーキングに車を停めて適当に居酒屋に入る。私は運転しないからお酒を飲めるけど、郁也が可哀想なので、郁也と同じウーロン茶を注文した。


「うま!」