「ちょっと待って、どこ行くの?早いってばぁ」

「いいから。ついてきて!」

「はいはい、わかったから。」

今、美南に手を引かれ学校の階段を走っている。

美南「遅いってば茜〜!」

そう、それが私の名前だ。

茜「だから、早いんだってば」

美南「ついた!!」

茜「はぁはぁ、屋上じゃんここ。」

美南「そうそう!!屋上!1回入ってみたかったんだよね〜!!」

茜「確かに。でもさ、美南?よ〜〜く見てごらん?」


そこには大きく

"屋上立ち入り禁止"

と紙に書いてあった


美南「えっへん!そんな事だろうと思って、
じゃーん!!屋上の鍵〜〜(笑)」

そういって鍵を持った手をぷらんぷらんさせながら、言ってきた。

茜「ちょ、なんでそんなもの持ってるのよ」

美南「なーいしょ!
いいから、もう入ろうよ〜!では、オープン!」

ガチャンと鍵を回す音で目の前の世界は一変した。

目の前はしばらく魅入ってしまうような、綺麗で濃ゆい橙色で埋め尽くされていた。

美南「わぁ〜綺麗だね。」

茜「うん、そうだね」

美南「あのね、茜。言いたいことがあるの。」

景色と同じようにきらきらとした笑顔で、



「私さ の。」






その時、あの子はそう言った。

茜「.....え」

何を言っているのかわからなかった。どうしたらいいのかさえも。

今までの物語をすべてひっくり返されるような。


どうしても受け入れたくなかった。


美南の嘘偽りのない笑顔が好きだった。



あの子の目には一筋の光が見えた気がした。



そして


なにもない空っぽの私の中で、

うるさい心臓がただなっていた。