「……そうだ。心音、これあげる」

カバンから何かの箱を取り出した明梨ちゃんは、私に箱を差し出した。

「え……?」

「今日、誕生日でしょ?お誕生日おめでとう!」

「ありがとう!開けていい?」

私の言葉に、明梨ちゃんは頷く。私が箱を開けると、そこに入っていたのはエメラルドの入ったネックレスだった。

「これは……」

「……前、心音……ネックレスが欲しいって言ってたから……」

そう言って、明梨ちゃんははにかむ。私は、その笑顔を見た後ネックレスに目を移した。

「ありがとう……」

「どういたしまして……いつか心音の恋、叶うと良いね!」

明梨ちゃんの言葉に顔を上げると、明梨ちゃんは「バイバイ!」と元気よく手を振って私に背を向けると歩き出す。

「……」

私は明梨ちゃんの姿が見当たらなくなるまで見つめた後、ネックレスを握り締めた。

私の恋は、もう叶わないんだ……。

私の頬に、涙が伝った。