Re:START! ~君のバンドに、入ります~

「あら詩乃。これ何? あ、明日の文化祭のプログラム?」

「うん。……実はね、お母さん」

「なーに?」

「このMOON STARTって演目、バンド演奏なんだけどね」


 STAR STARTって名前を出したら騒ぎになるから、違う名前に変更して出演することにしたのだ。

 あくまでも私たちは、流行りの曲を演奏するコピーバンドということになっている。


「へー! バンド! 中学生ですごいね!」

「……私も出るの」

「えっ?」

「私が歌うの。あ、その場で歌うんじゃなくって、録音を流すんだけどっ……。でも、私もバンドメンバーなの」


 お母さんは、しばらくの間驚いたような顔をしていた。

 しかし、なぜか瞳を潤ませた後、私の手からプログラムを受け取る。


「詩乃が……! そうなの……。お母さん、嬉しいわ」


 なんだか大袈裟に感激しているみたいえで、私は戸惑ってしまった。


「お、お母さん?」

「……あのね。小さい頃の詩乃は所かまわず大声で歌っていたのに、段々あんまり歌わなくなっちゃって……。どうしたんだろう、歌うのが嫌いになっちゃったのかなってずっと思っていたのよ」