――だけど。
「嘘をついていたことは謝るよ。――でも」
STAR STARTを抜ける方が。
律くんや響斗くんと、バンドをできなくなってしまうことの方が。
姫奈ちゃんにいじめられることよりも、もっと嫌だと私は思ったんだ。
「私、バンドはやめない! 絶対やめない!」
叫ぶようにそう言った。
全身全霊で。
自分の思いを姫奈ちゃんにぶつけるように。
絶対に絶対に。
やめたくない!
すると姫奈ちゃんの表情が、一瞬で怒りに満ち溢れた。
いつものかわいらしい顔が嘘のような、まるで鬼のような面持ち。
「詩乃のくせに生意気……! このっ……!」
姫奈ちゃんが手を振り上げる。
私は反射的に瞳を閉じた。
ぶたれる……そう覚悟しながら。
――しかし。
「はーい、ストップ?」
聞こえてきたのは、響斗くんののんびりとした声。
あれ、もう第二音楽室に向かったはずなのに?
私は目を開けた。
すると、姫奈ちゃんの振り上げられた腕を掴んでいる響斗くんと、その横に立つ律くんの姿が見えた。



