Re:START! ~君のバンドに、入ります~

 どうしようどうしよう。

 律くんと仲良くしていて、しかも嘘をついていたなんて知られてしまって。

 これから確実に、私は姫奈ちゃんにいじめられてしまう。

 ――怖いよ。


「まあいいわ」


 姫奈ちゃんの表情が緩んだ。

 少し微笑んでいるようにすら見える。

 ――え?

 そんなに怒ってないの?

 姫奈ちゃんの態度に、希望を抱く私。

 ――しかし。


「今からでも、バンド抜けてよ。そしたら許してあげる」

「え……!」


 バンドを、抜ける?

 STAR STARTを?

 律くんと響斗くんと、今まで一緒に練習してきたバンドを?

 ヒトカラでこっそり歌うことしかなかった私を見つけてくれて、楽しい世界に連れ出してくれたふたりから、離れろってこと?


「……いや」


 気づいたら私はそう言っていた。


「……は?」


 姫奈ちゃんが眉間にしわを寄せて、低い声をあげた。

 姫奈ちゃんのことはもちろん怖い。

 姫奈ちゃんのグループは、気に入らない子を無視したり、持ち物を隠したり、何かやるたびに笑いものにしたりする。

 自分がその標的になんか、絶対になりたくない。