Re:START! ~君のバンドに、入ります~

「放課後、詩乃ちゃんの後をこっそりつけたの。それで見つけたの。……ねえ、どういうこと?」

「あ……」


 鋭い視線で私睨みながら姫奈ちゃんは言う。

 掃除の時間に姫奈ちゃんが私にこのことを言ってきたのは、きっと律くんがいなくなるのを見計らっていたのだろう。

 震えてしまった私は、何も言うことができない。


「う、詩ちゃん……」


 近くで一緒に掃除をしていた沙菜ちんが、心配そうな声をあげた。


「あれってバンド? もしかして律くんと一緒に、詩乃ちゃんバンドやってるの? 文化祭で律くんがライブやるかもって言ってたけど、もしかして詩乃ちゃんも一緒に出るの?」

「…………」


 姫奈ちゃんは、私が人前で歌えなくなってしまった直接の原因だ。

 昨日律くんが「気にするな」って言ってくれて。

 私も気にしないようにしよう、自信を持とうって思っていたのに。

 治りかけていた傷が、えぐられるような気分だった。

 恐怖のあまり、私は震えることしかできない。


「一緒にバンドをやってるなんて、律くんと仲良くなってるじゃん。私に嘘ついてたんだ、詩乃ちゃん。最低だね」