Re:START! ~君のバンドに、入ります~

 改めて言葉に出すと、あの時の姫奈ちゃんの言動がやけに鮮明に思い出された。

 ちょっと涙ぐんでしまう。

 ――すると。


「そいつ、きっと詩乃に嫉妬したんだな」

「えっ?」


 律くんの言葉が、全然予想していない内容だったので私は驚く。

 彼は、表情を緩ませてこう続けた。


「だって、あんなにすげー歌声聞いたらさあ。詩乃が人気者になるんじゃないかって、焦ったんじゃね?」

「そうかな……」


 ちょっと信じられなかった。

 あの頃から姫奈ちゃんはすごくかわいくて人気者だった。

 仮に私の歌声がすごかったとしても、姫奈ちゃんがそんな心配するかなあって。


「いや、絶対そうだって。だって俺、小五の時も詩乃の歌を聞いて、めっちゃ興奮したんだよ。すげえ!って。もちろん、中二になった今も。カラオケの部屋越しに聞いても、なんだこの歌、やべえって思ったんだよ」

「ほ、ほんと?」