それに、自分がそんな風なことを友達に言われる存在だなんて、なんとなく知られたくなかった。
だから私は、律くんにも言わないでおこうと思って「たいしたことじゃないよ」って言おうとした。
――でも。
私は最近の律くんのことを思い出してはっとする。
彼は私の声を「すげーいい」って言ってくれたんだった。
「バンドに合いそうな曲」だって。
今だって、私のことを本気で心配してくれているのが分かる。
――言おう。
言わなきゃ。
だって同じバンドのメンバーなんだから。
「……実はね、律くん」
私は、自分が内気になって、誰かの前では歌が歌えなくなってしまった理由を打ち明けた。
姫奈ちゃんの悪口にならない様に、彼女の名前は出さずに。
そういう風に言った人がいて、ショックを受けてしまったって。
律くんはずっと私を見つめたまま、何も言わずにじっくりを私の話を聞いてくれた。
「――というわけでね。なんだか歌うのが怖くなっちゃって。そしたら自然に性格の方も引っ込み思案になっちゃってさ……」



