Re:START! ~君のバンドに、入ります~

「だけど、今年また俺たち同じクラスになってさ。昔は明るかった詩乃が妙におとなしくなってて、いっつも小さい声でしか喋らなくなってて。歌のテストでも耳をすまさないと聞こえないような声でしか歌わねーし。小五の時の俺の記憶は、なんかの間違いだったのかなって最近までは思ってたんだよ」

「うん……。そうだよね。小学五年生の頃の私と今の私……。全然、違うかもしれないね」


 律くんは私の方をじっと見つめて、真剣な顔をしたままこう尋ねた。


「なあ、なんかあったのか? 昔はあれだけおっきい声で楽しそうに歌ってたのにさ。なんで、人前で歌えなくなったんだよ?」

「…………」


 思わず黙りこくってしまう私。

 怖くて、あの出来事については誰にも打ち明けたことがなかった。

 姫奈ちゃんの言う通り、私の声が本当に変な声なのかもしれないなって思っていたから。

 誰かに言って「ああ、確かに変な声だよね」なんて言われたら、ショックが大きすぎる。

 お父さんやお母さんにだって、言っていない。

 親のひいき目から、例え私が本当にぶりっ子声だとしても「かわいい声だよ!」って否定しちゃうと思うし……。