お母さん、鋭い。
まあ正確には、あの頃のように歌えなくて悩んでいる最中だけど。
「お母さん、詩乃が元気に歌ってるの好きだったなー。また気が向いたら、歌ってね。お風呂の中だけじゃなくて」
「えっ! 聞こえてたの!? お風呂の歌声……」
奏多限定で歌っていた気分だった私は、虚をつかれる。
「あんなに大きい声で歌ってたら、聞こえるわよー。今度カラオケにでも行って披露してもらおうかしら」
お母さんは笑いながら言った。
そ、そうなんだ。
今度はもうちょっと抑え目に歌おう……。
「そ、そのうちね!」
「はいはい。じゃあ、ケーキ用意してくるね」
私が恥ずかしがっているのを察してくれたのか、お母さんは部屋から出ていった。
そのうち、ね。
ちょっとまだ、しばらくは聞かせられそうにないなあ。
せめて文化祭で流す録音の歌声を、お母さんに聞かせられるレベルになるよう頑張ろうっと。
そう思った私は、本をランドセルにしまってリビングに向かったのだった。
*
「詩ちゃーん、マジックの青取ってー!」
「はいよー」
まあ正確には、あの頃のように歌えなくて悩んでいる最中だけど。
「お母さん、詩乃が元気に歌ってるの好きだったなー。また気が向いたら、歌ってね。お風呂の中だけじゃなくて」
「えっ! 聞こえてたの!? お風呂の歌声……」
奏多限定で歌っていた気分だった私は、虚をつかれる。
「あんなに大きい声で歌ってたら、聞こえるわよー。今度カラオケにでも行って披露してもらおうかしら」
お母さんは笑いながら言った。
そ、そうなんだ。
今度はもうちょっと抑え目に歌おう……。
「そ、そのうちね!」
「はいはい。じゃあ、ケーキ用意してくるね」
私が恥ずかしがっているのを察してくれたのか、お母さんは部屋から出ていった。
そのうち、ね。
ちょっとまだ、しばらくは聞かせられそうにないなあ。
せめて文化祭で流す録音の歌声を、お母さんに聞かせられるレベルになるよう頑張ろうっと。
そう思った私は、本をランドセルにしまってリビングに向かったのだった。
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「詩ちゃーん、マジックの青取ってー!」
「はいよー」



