Re:START! ~君のバンドに、入ります~

 お母さん、鋭い。

 まあ正確には、あの頃のように歌えなくて悩んでいる最中だけど。


「お母さん、詩乃が元気に歌ってるの好きだったなー。また気が向いたら、歌ってね。お風呂の中だけじゃなくて」

「えっ! 聞こえてたの!? お風呂の歌声……」


 奏多限定で歌っていた気分だった私は、虚をつかれる。


「あんなに大きい声で歌ってたら、聞こえるわよー。今度カラオケにでも行って披露してもらおうかしら」


 お母さんは笑いながら言った。

 そ、そうなんだ。

 今度はもうちょっと抑え目に歌おう……。


「そ、そのうちね!」

「はいはい。じゃあ、ケーキ用意してくるね」


 私が恥ずかしがっているのを察してくれたのか、お母さんは部屋から出ていった。

 そのうち、ね。

 ちょっとまだ、しばらくは聞かせられそうにないなあ。

 せめて文化祭で流す録音の歌声を、お母さんに聞かせられるレベルになるよう頑張ろうっと。

 そう思った私は、本をランドセルにしまってリビングに向かったのだった。





「詩ちゃーん、マジックの青取ってー!」

「はいよー」