Re:START! ~君のバンドに、入ります~

 確かにそれなら、みんなの前で歌うわけじゃない。

 前もって録音できるなら、何度も録り直すことだってできるだろう。 

 私がステージに出るわけじゃないから、姫奈ちゃんにもバンドのことはバレないし。


「それならっ……。できるかも……! ちゃんと練習すれば!」


 ぐっとハードルが低くなって、私は笑顔になって言った。


「俺はちゃんとしたライブがやりたかったけどなあ。……まあ、それでも響斗と演奏できるんなら、いいか」


 律くんは渋々といった感じで了承した。

 ――そうだよね。

 そりゃ、ボーカルだって生で歌った方が、観客は臨場感を味わえるだろう。

 だけど今の私が歌ったら、臨場感どころかがっかり感しか与えられない。


「じゃあそれで決まりだね! 文化祭まであと一ヵ月あもるし、詩乃ちゃんはその間に自分が納得できる歌を録音できるように頑張ろうか」

「う、うん!」


 ――そうだ。

 ライブに出るのは回避できてほっとしているけれど、まだスタジオでも上手に歌うことができてないんだ。