Re:START! ~君のバンドに、入ります~

 すると、私の足音に気づいたのか、律くんが振り向いた。

 はたと目が合ってしまう。

 律くんは真顔で、何を考えているかはわからない。

 昨日のことをすごく怒っているのかもしれない。

 許してもらえるかはわからない。

 だけど、ひどいことを言ってしまったんだから、謝らなくちゃならない。


『ごめんっ!』


 勢いよく頭を下げて、叫ぶようにそう言った。

 しかし、それが律くんの声と重なったので、不思議に思って顔を上げる。

 律くんは私とぴったり声があったことに驚いているようで、目を見開いて私を見ていた。


「どうして、謝るの……?」


 少し乱暴な言い方はするけど、律くんは別に私に悪いことはしていないのに。

 すると律くんは気まずそうな顔をした。


「いや……。いきなり無理に誘って悪かったなって、後になって思えて。お前の事情も考えないでさ。ボーカルが見つかりそうで嬉しくて、つい……。ごめんな」


 律くんらしいぶっきらぼうな言い方だったけど、気持ちは伝わった。

 律くん、乱暴なイメージしかなかったけど。

 そんなに怖い人じゃないのかも、と思えた。