Re:START! ~君のバンドに、入ります~

 ――すると。


「……ううん。私の方こそ、ごめんね。詩ちゃんがこんなにこの曲を好きだなんて、私知らなくて。適当なこと言って、ごめん」


 美香ちゃんが心から申し訳なさそうな顔をして言う。

 彼女のその様子に、ほっとする私。

 すると沙菜ちんが、おかしそうに笑った。

 彼女はいつも明るくて、私たちの中ではムードメーカーだ。
 
 
「詩ちゃんの勢いにはちょっとびっくりしたー! でも、本当に好きだってことが分かったよ。よし、私ももっとファンになろうかな!」

「ほんと!?」


 沙菜ちんの言葉はすごく嬉しかった。

 今までひとりで楽しむだけだったから、同じようにこの気持ちを共有できる友達がいたら、きっと楽しいだろうな。


「そんなにいいんだねー。私ももっと聞いてみよっかな」

「うんすごく……いいんだよ」


 美香ちゃんの言葉にそう言うと、昨日のことが自然と思い起こされた。

 私の歌を褒めてくれて、嬉しそうにバンドに誘ってくれた律くんと響斗くん。

 私は、そんなふたりの気持ちを台無しにしちゃったんだ。

 ――私なんかにできるわけない。

 ――絶対に無理。