Re:START! ~君のバンドに、入ります~

 ――だけど、私には。

 律くんや響斗くんの演奏を直に聞いて、律くんの指の皮の厚さを見て、ここ一年間での彼らの成長を知っている私には。

 「たまたま一曲だけ運よく当てた」「一発屋」という言葉が、すごく嫌だったんだ。


「そんなことないよ!」

 気づいたら私は、ふたりに近づいて、強い口調でそう言っていた。


「え……? う、詩ちゃん?」

「そんなことないんだよ! STAR STARTは……その、今流れてる曲を作ってる人たちは、すごく頑張ってるんだよ! 絶対に運よく当てた一発屋なんかじゃないからっ! 私ファンだから知ってるの!」


 まくしたてるようにそう言った後、沙菜ちんと美香ちゃんがぽかんとした顔をして私を見ていたことに気づく。

 はっとする私。

 普段、小さな声でしか話さない私がいきなり大きな声をあげたから、驚いているようだった。

 しかも、こんな風に何かを強く主張することなんて、今まで一度もなかったから。


「ご、ごめんいきなり……。あ、あの……」


 我に返った私は、小さくなってか細い声でそう言う。

 変に思われたかなと、不安になってしまった。