そんな私の心を察したのか、律くんが真剣な顔をして言った。
「うまく言えないけど、俺が作る曲にすげー合ってそうなんだ。技術的にはまだ甘いとこはあるけど、そんなもん練習すれば何とかなる。昨日隣の部屋から聞いたとき、こいつに頼もうって一瞬で思った」
「俺もそう思ったよ」
響斗くんまでが、はっきりとそう言う。
ふたりの言っていることが全く理解できなかった。
私は確かに歌うのが好きだけど、自分の歌がうまいだなんて思ったことなんてない。
小さい頃、家族や友達の前で歌った時は「上手だね!」なんてみんなは言ってくれたけど、お世辞だと思うし。
――第一、私は。
「私……人前で歌うこと、できなくて……。ふたりも知ってると思うけど、引っ込み思案だし……。バンドで歌うことなんて、できるわけない……」
五年生の時に、姫奈ちゃんに言われた言葉はいまだに私にトラウマを植え付けている。
少し俯いてそう言った私の顔を、響斗くんは覗き込む。
優しい笑顔を浮かべて。
「でも歌うのは好きでしょ?」
「……それは」
そうだよ。
歌うのは、好き。
「うまく言えないけど、俺が作る曲にすげー合ってそうなんだ。技術的にはまだ甘いとこはあるけど、そんなもん練習すれば何とかなる。昨日隣の部屋から聞いたとき、こいつに頼もうって一瞬で思った」
「俺もそう思ったよ」
響斗くんまでが、はっきりとそう言う。
ふたりの言っていることが全く理解できなかった。
私は確かに歌うのが好きだけど、自分の歌がうまいだなんて思ったことなんてない。
小さい頃、家族や友達の前で歌った時は「上手だね!」なんてみんなは言ってくれたけど、お世辞だと思うし。
――第一、私は。
「私……人前で歌うこと、できなくて……。ふたりも知ってると思うけど、引っ込み思案だし……。バンドで歌うことなんて、できるわけない……」
五年生の時に、姫奈ちゃんに言われた言葉はいまだに私にトラウマを植え付けている。
少し俯いてそう言った私の顔を、響斗くんは覗き込む。
優しい笑顔を浮かべて。
「でも歌うのは好きでしょ?」
「……それは」
そうだよ。
歌うのは、好き。



