俺は神童波留|《しんどうはる》身長がコンプレックスの高校一年生だ。

俺には幼馴染がいる。

昔から俺はそいつのことが好きなんだ。

「ねぇ波留聞いてる?」

「聞いてる聞いてる。」

こいつの名前は桜。

背がでかくていつも背の小さい俺をバカにしてくる。

性格は男勝りのくせにモテるから俺はいつも焦ってるんだよね。

それに桜は俺のこと別に好きじゃないだろうし。

「そういえば白石は?」

「やっぱり話聞いてなかったんじゃん!凪は冬也君と一緒に行くって言ってたよ。」

白石は桜の親友で俺らの幼馴染。

あと俺の兄貴と付き合っている。

小さいかわいい系女子ってやつ。

兄貴は俺のひとつ上でイケメン高身長のハイスペック男子。

あー少しでいいから身長分けてほしい!

「あっ!もう時間やばいよ。」

「マジか。急ぐぞ。」

俺は桜の手を取って走った。

学校にはなんとか間に合った。

「はよ」

「波留、おはよう。また遅刻ギリギリだね。」

こいつは若草和希。

高校でできた友達で、たいてい一緒にいる。

和希は、勉強もスポーツもできて顔も整っているまさに完璧なやつ。

「今日も一緒に登校ですか。仲いいね~」

「そんなんじゃねーよ!」

たまに俺をいじってくるけど根はいいやつなんだよね。

「今日の体育バスケらしいよ。」

「ほんと!俺すげー好きなんだよね。ラッキー」

中学の時もバスケ部だったし。

背低いから高校ではやらないつもりだけど。

「まぁその前に数学だけど。」

「えー」

人が落胆するの見るのホント好きだな。

「そっち後に言うのは酷い!」

「ふふっ。ごめんごめん。波留の反応が面白いから。数学教えてあげるから許して。」

「しょうがないなー。絶対だぞ!」

キーンコーンカーンコーン

「もう無理。頭はいらない。」

「おつかれ。早く体育行こっか。その前に着替えないと。」

ホントだ。

「波留。」

「お、桜どうした?」

「背低いのにバスケなんて可哀相だね。」

「うるせー。だったらくれよおまえの身長!無駄にでかくなりやがって。」

俺が桜より大きければかっこよく守ってやれるのに。

「嫌だね。そっちが大きくなれば?」

「俺だってなりたいっつーの。」

「波留、言い合いしてないでいくよ。桜ちゃんごめんね、また後で。」

「あ、こっちこそごめんね。」

なんで和希にはおしとやかなのに俺のときだけ強気なんだよ。

でもそういうところもかわいいって思ってる俺は意外と重症なのかもしれない。

「波留って意外と筋肉あるね。」

「当たり前だろ!俺中学の時はバスケ部だったんだよ。しかもエース!すげぇだろ。」

中学の時はよかったな。

背なんて関係なかったから。

「へぇー!そうだったんだ。すごいね。今日は活躍できるじゃん。」

桜が見ててくれたらいいな。

「高校は入らないの?」

「入らないつもり。俺モテちゃうから笑。モテるのは一人でいいの~。」

中学の時と同じことになってほしくないから…。

「……そっか。」

和希いつもなら深く聞いてくるのに。

まぁいっか。

そっちのがありがたいし。

「それより早く行こうぜ。始まっちゃう。」

「そうだね。」

そして体育の授業は始まった。

和希と俺は同じチームになり試合をしていた。

「それにしても和希君イケメンで勉強もできてそのうえ運動神経もいいとか優良物件すぎ!」

「波留くんもやばいよね。顔整ってるし、勉強はあんまりだけどまたそこもかわいいよね~。」

『だよねー!』

また女子が噂話してる。

ああいうのあまり好きじゃないんだよね。

「波留どうした?怖い顔して」

「まじ!俺そんな顔してた。」

昔のこと思い出してたからかな。

危ない危ない。

「教えてくれてありがとう、和希。」

「それより試合やろう」

そういえば試合中だった。

「おう!」

やっぱりバスケ楽しい。

「波留、目立ちすぎ」

桜!

「目立っちゃ悪いかよ。」

俺が目立っても何も問題ないはずだろ?

なんで怒られてるんだ。

「わ、悪くはないけど。…みんな波留のこと好きになっちゃう。」

最後なんて言ったんだろう?

「それよりつぎ女子の番だろ。ヘマしないか見ててやるよ。w」

「見てなくて結構です!」

あ、怒っちゃった。

なんで俺桜にだけ優しくできないんだろう?