「それはズバリ、恋よ!」

屋上に行ったとだけ話し、屋上での出来事は伏せたまま、一通り話し終わると、黒髪ロングストレート―西園寺 麗蘭(さいおんじ れいら)―が、こう言った。

「……は?」

西園寺家は、西園寺グループという、老舗旅館や高級ホテルなどを展開する会社の経営者一族。

その2子で、長女である彼女は、幼稚舎から一緒
の、優雅以外のもうひとりの幼馴染み。

長い黒髪ストレートに、二重の大きな猫目。スッと通った鼻筋。

同性のわたくしから見ても、かなり魅力的な女子だ。それに文武両道とくれば、男子が放って置くわけがない。しかし、その家柄から、いつしか高嶺の花になっていた。

そんな彼女を、わたくしは頼りにしている。頼りにしているが……

「それはないわ」

有り得ない。昔から一緒に居たのだ。親友以上であっても、恋人にはならない。