涙が枯れて、おさまった時、初めて自分の行動を振り返って、恥じた。

専属執事で幼馴染みとはいえ、伊集院の娘のわたくしが、弱みを見せるなんて!
ましてや、抱き締められて、ちょっとでも安心した、なんて!

「涙、止まりましたか?」

なんでそんな心配そうな顔するの………?

「ええ、胸借りちゃって、ごめんなさいね。HR、始まってしまったようね」

どうしようかしら?

「HRどころか、始業式、始まっていますよ」

「…!」

嘘でしょう?!それってすごく大変じゃない?

「始業式のあとから行きましょう」

わたくし達は屋上を出て、教室へ向かって歩き出した。