そこに居たのは、
世界で一番憎い、男だった。

「お前の父さんに呼ばれたんだよ。聞いてなかったのか?」

「知らないわよ。あなたが来るなら来なかったのに」

エレベーターが来て、乗り込む。

「なんでついてくるのよ」

「いや行き先一緒だから。当たり前だろ。アホかお前は」

行き先が同じ星夜も、もちろんついてくるわけで。 

「わたくしにアホなんて言うのはあなたくらいね」

いちいちイラッとくることを言ってくる。

「傲慢なのも変わってないんだな」

傲慢って何よ。これくらいのプライド持ってないと、あんな陰口に耐えていられない。

「ほんっと失礼な人ね」

「そういえば、なんか今日雰囲気違うなぁ。そんなドレス着てるの見たことない。それに、いつもの執事いないんだな」

ふと周りを見回して、そんなことを言う星夜。

「このドレスは凛様が選んだの。優雅とはそんなにいつも一緒にいるわけじゃないわよ。逆にあなたあんまり会ったことないわよね?」

「会うたびに連れてたしな。覚えるよ」

「そ…うだったかしら」