虫の声に交じって、微かに波の音がする。
ビーチが近い事を思い出したアタシは、夜の砂浜に行ってみる事にした。
ビーチに向かって歩くアタシの背後から、駆けて来る足音に思わず振り返る。
「随分冷てぇじゃん?」
新海が悪戯に笑って、アタシの横に並んだ。
「彼女と電話中に、誘えるわけないじゃん」
「もともと誘う気がなかった」とは、さすがに言えなくて、アタシはごもっともな言い訳をしてみた。
「まぁ、いいや。で? どこ行くつもり?」
「ビーチ」
「いいじゃん。夜の海。でも、よく女ひとりで行く気になるな? 怖くねぇの?」
「別に」
そんなアタシの答えに、新海が鼻を鳴らして笑い出す。
「何が可笑しいの?」
「北川らしいと思ってさ」
そんな新海の言葉を深追いする事もなく、アタシは不機嫌な呆れ顔をしながら、ビーチへと足早に歩いた。
ビーチが近い事を思い出したアタシは、夜の砂浜に行ってみる事にした。
ビーチに向かって歩くアタシの背後から、駆けて来る足音に思わず振り返る。
「随分冷てぇじゃん?」
新海が悪戯に笑って、アタシの横に並んだ。
「彼女と電話中に、誘えるわけないじゃん」
「もともと誘う気がなかった」とは、さすがに言えなくて、アタシはごもっともな言い訳をしてみた。
「まぁ、いいや。で? どこ行くつもり?」
「ビーチ」
「いいじゃん。夜の海。でも、よく女ひとりで行く気になるな? 怖くねぇの?」
「別に」
そんなアタシの答えに、新海が鼻を鳴らして笑い出す。
「何が可笑しいの?」
「北川らしいと思ってさ」
そんな新海の言葉を深追いする事もなく、アタシは不機嫌な呆れ顔をしながら、ビーチへと足早に歩いた。


