もう二度と悲しい思いはさせない。

「なんだか、陸もふとした瞬間に居なくなっちゃいそうな気がして怖いの……」
「居なくならないよ」
「私の周りから皆が消えちゃいそうな気がして、心が空っぽになったかのような感じになっちゃうんだぁ……。
そしたら、寂しくなっちゃって……」

ミチルは小さい時に親が離婚している。

最近では、祖父母を失った。

その時感じたのは、1人取り残された感覚だったのだろうか。

「大丈夫だよ。俺はミチルを置いて居なくなったりしないから……」

ミチルはきっと寂しいんだ。

そう思いながら、身体を抱き締める。

「絶対、居なくならない……?」
「居なくならないよ」
「私には陸しか居ないの……。
他に信じられる人なんて、存在しないの……」

ミチルには俺しか居ない。

そう思うと嬉しくなってしまうのは、何故だろう。

ああ、俺も寂しいんだ。

そう気付いたが、知らない振りをしてミチルを更にキツく抱き締める。

「俺にもミチルだけ……。
ミチルしか居ないよ……」
「本当?」
「うん。ミチルしか要らない……」
「私も、陸しか要らないよ!!」

俺しか要らない。

この求められている感覚が癖になりそうだ。

今は、この感覚に溺れていたい。