「どうして笑顔で居られるの?」

無理していない自然な笑顔を見て、そんな言葉が溢れ出す。

「私、両親に捨てられて幸せだなて思ったの……」

意味が分からない。

「なんで?」
「だって、両親が捨ててくれたから祖父母に育てられたんだもの!!
私は祖父母の事を本当なの親だと思ってるの!
陸に会えたのも同じ!!」

そう思えるくらい、ミチルは祖父母に可愛がられたのだろう。

「なるほど!」
「でも、たったひとつだけ祖父母に育てられて嫌だった事があるの……」
「何かな?」
「年を取っといたから、早くに亡くなった事……。私を置いて行かないで欲しかった……」

そう言って、啜り泣くミチルの肩を抱いた。

「大丈夫。俺が居る!」
「うん、うん……」

両親に捨てられ、祖父母に先に逝かれたミチルはただのか細い女の子だった。

だから、守りたいと思ったんだ。

「ねえ、陸……」
「ん?」
「陸は私の事を置いて行かないでね……」

両親に捨てられ、祖父母に先に逝かれたミチルは2度もひとりぼっちになったんだ。

不安にすらさせたらいけない。

「俺、ミチルより若いよ!」
「何?突然、若いアピールですか?」

ミチルがクスクス笑う。