20万貰えるのなら、美味しい話だ。

しかも、ミチルと一緒に居られる。

「う、うん。働くよ」
「ねえ」
「ん?」
「陸は家族は大事ですか?」
「へ!?」

家族。

母親は俺が小さい時に家を出て行った。

父親と残されたが、俺の事なんて興味ないのか、仕事が忙しいのか、顔を合わせる事も無い。

「家族は大事だよ……」

でも、当たり前の言葉を口にする。

「私は家族はもう居ません!!」
「親とは会ってないの?」
「会っていますよ……。と、いうか父はうちで働いています……」

思いがけない言葉が帰って来た。

「そうなんだ……」
「でも、なんとも思っていませんから!!」

そう言って、ニッコリと笑うミチル。

なんとも思っていないだなんて、嘘だ。

なんとも思ってなければ、こんな無理矢理な笑顔を見せる訳が無い。

「そっか……」

その笑顔は苦しそうで、切なくて、俺の心を魅了した。

「さっきの、嘘……。
家族が大事なんて、嘘……」
「え、陸も!?」

そう言ったミチルの表情は、今日見た中で一番嬉しそうに見える。

「うん。母親は小さい時にいなくなったし、父親とはまともに口すら聞いてない……」
「ああ!だから、陸とは気が会うんですね!!陸は……」
「ん?」