毎日、朝ご飯を作るだなんて信じられない。


俺にとっては衝撃的だ。


同時に誰かに死ぬ程愛された事の有る、ミチルが羨ましくて堪らない。


「朝だけじゃないよ!
夜ごはんも最高だったし、夜食付き!」
「夜食も手作り?」
「うん!
深夜は胃に優しい物が多かったなぁ!!
プラス。毎回林檎のすりおろしが出てくるの!!」


豪華なご飯に夜食、フルーツなんて夢のような話。


小さい頃は、手作りの料理に憧れていたっけ。


「まじで!?」
「うん。私ね……」
「うん?」
「おばあちゃんみたいな人になるのが夢なの」



朝から食事を作って、普通の暮らしをする。
それが夢だった__


「ミチルなら出来るよ!!」
『本当?』
「うん!」


今だって、十分自炊をしている。
それに、働きながら家事だって。


小さい頃を思い出す。


いつも、手作りじゃない晩御飯。
汚れているのに、洗って貰えない衣類。


ミチルと居たら、そんな生活から脱失出来るだろう。


俺は普通になりたいんだ。


「でもね……」


不安げな表情でこちらを覗き込むミチル。


「どうした?」
「私、おばあちゃんになりたいけど……。
おばあちゃんみたいな生き方はしたくないの……」