ミチルと俺は似ている。
同時に対照的でもある。


ミチルは大切に大切に育てられたのだろう。
一緒に生活していて、大切に育てられた事が痛い程伝わる。


同時に虚しくなってしまうんだ__


父、母は俺を育ててくれた。


なのに、1ミリも愛された記憶が無いのが確かな事実で。


ほとんど家に居ない父親に、寝たっきりで怠け者の母親。


もし、父か母がこの世から居なくなったとしたら、俺は涙を流せるだろうか__


「なあ、ミチル……」
「どうしたの?」
「ミチルはおばあちゃんにどんな事して貰った?」


ミチルの目の奥がキラキラと輝きだす。


「なに?おばあちゃんの話聞きたい?」
「うん」
「なんか、嬉しいなぁ。
あのね、ミチルの為に毎朝早起きしてご飯作ってくれていたよ!

朝から気合いの入ったご飯で、凄いの!!」


炊きたてご飯に豊富なオカズが美味しかったらしい。


うちの母親なんて、ご飯を炊くのなんてたまにだった。


何より、朝ごはんなんてほとんど食べた記憶に無い。


有るとしたら、六枚切りの食パンを焼いてマーガリンを塗ったものくらいだ。


「ミチルのおばあちゃんは、毎日朝ご飯を作るの?」
「うん。そうだよ!」