「おばぁちゃん!!
私に、料理を教えてください!!」


そう言うと、近所のおばあちゃんに深く頭を下げるミチル。


「まあまあ、ミチルちゃん。
頭なんて下げないで!!料理くらいなら、沢山教えてあげるから……」
「本当ですか?」


キラキラ目を輝かせるミチル。
嫌がらせに夢中になっていた女の子と同一人物なんかには見えない。


それは、昨日の夜だった。


ミチルと二人で夏布団に入り、お喋りをしていた。


「陸……」
「うん?」
「ミチルのおばあちゃん。凄く料理が上手かったんだよ」
「それは、凄いね!」
「うん!!」


おばあちゃんの話をする時のミチルは、子供のように無邪気に笑う。

これが、ミチルの本当の姿。


「今日の煮物美味かったな!」
「うんうん!おばあちゃんの煮物に似ていたんだ!」
「ミチルのおばあちゃんも料理上手だったんだね!」
「うん!料理もお菓子作りも上手だったよ。
おばあちゃんが作った、ようかんが食べたいなぁ……。


おばあちゃんに、会いたい……」


その言葉を最後に泣き出してしまったミチルに、掛ける言葉が見つからないから在り来りな言葉を口にした。