でも、嫌がらせなんかしたくない。

「嫌とかじゃないけど、バレたらやばそうだよ……」
「あはっ。陸って小心者っ!
バレないから大丈夫だよ!!」

そういう問題じゃないんだ。

そう声を大にして言いたかったが、ミチルに嫌われるのが怖くて本音なんか出せやしない。

数分後。

生ゴミを手にしたミチルとあの家に向かい歩く。

「もうね。私がやる事はやっちゃったんだけどね!!でも、まあ、いいか!!
陸の行動を見るのも楽しいもんね!!」

目的地に辿り着くと、生ゴミの入った袋を手渡され、受け取る。

これを、玄関にでもぶちまけろというのか。

しかし、逃げる事も出来ずに玄関に辿り着いた。

俺がここに来た意味は無かったようだ。

郵便受けから溢れをばかりに出た生ゴミ。

床に散乱した生ゴミ。

散らばった家の外観を見て、これを掃除するであろう人物が頭に浮かぶ。

それは、おばあちゃん。

優しい顔のおばあちゃん。

もし、おばあちゃんが朝にこんな玄関を見たら悲しい気分になるよな……

やったらダメな事くらいミチルにガツンと言いたい。

でも、現実の俺はミチルに嫌われないように従う事しか出来ない。