「なんで、あの女を心配するの!?」

心配っていうか、俺のせいで被害を被ったとしたら申し訳無い。

しかし、俺が心配したらミチルはヤキモチを妬いてしまう。

だから。

「心配してる訳じゃないよ?」
「そうなの?」
「うん、なんとなく気になって聞いただけ……」

ミチルは狂っている。

「なら、教えるね……」

そう言われ、ゴクリと唾を飲み込んだ。

「生ゴミをね、ポストに入れただけだよ?」

入れただけ。

「……」
「本当はね、もっときつい事をしたかったんだけどいい案が浮かばなくて……。
ねえ、なんかいい方法無いかなぁ?」

そう言いながら、ちょこんと首を傾げるミチル。

嫌がらせなんて辞めさせたい__

でも、そんな事をしたらミチルの逆鱗に触れてしまうだろう。

「……お、思いつかないなあ」
「そっかあ!!
なら、明日は陸がしてみない!?」

俺があの子の家に嫌がらせをする。

優しい笑顔で麦茶を持ってきたおばあちゃんの顔が脳裏を横切った。

「あれ、嫌なのかな?」

ゆっくりと、ミチルの顔が近付いてくる。

死んだ魚のような漆黒の瞳に吸い込まれそうになる。

なんて、言い訳をしよう。

頭の中でぐるぐると色々な言い訳を考えた。