初めての事務の仕事を終え、家に帰る。

ご飯を食べ、風呂に入り、ミチルを抱く。

いつも通りの日常。

横で眠りに着いたミチルの髪を撫でているうちに、眠りに着いてしまったみたいだ。

起きたらシーンと静まり返っていて、ミチルが横に居ない。

トイレにでも行っているのだろうか。

そんな事を考えながら、部屋の扉を開けようとしたがビクリとも動かない。

今朝、鍵を付けた事を思い出す。

ミチルは鍵を使ったのだろうか。

何の為に。

不思議に思いながらもミチルが帰ってくるのを待っていると、玄関が開く音が聞こえ、階段を登る足音が聞こえる。

その後鍵を回す音が聞こえて、ゆっくりと扉が開いた。

驚いた表情で俺を見ていたミチルが口を開く。

「起きていたの?」

ミチルが何をしていたのかが、気になって堪らない。

「うん、目が覚めて。ミチルは何していたの?外に出ていたの?」
「うん。仕返しに行っていたの」

意味が分からない。

「……仕返しって、何?」
「この前、陸が喋っていた女の子に仕返ししただけだよ?」

あの子はただ一緒にお茶を飲んだだけなのに、何かしたのか!?

「何したんだよ……?」

そう口にした瞬間、ミチルの表情から笑顔が消え去った。