職人達は現場に向かい、ミチルと2人っきりだ。

そう言えば、事務の仕事がどんな事をしているか知らない。

事務所に向かったミチルの後を追った。

お金の管理に電話番。
お客さんが来た時の対応。

暇があれば、庭の草むしりなんかもミチル1人でしていたみたいだ。

「今まで、これ。1人でしていたの!?」
「うん!」

結構な仕事量で驚いてしまう。

「ミチル凄いな!!」
「昔はね、おばあちゃんが1人でしていたの……。
おばあちゃんがしてた事を引き継ぎたくて」

朝のミチルは少し怖かったけど、やっぱり優しい子だと思う。

「ミチルは優しいね!」
「ありがとう!でも、やっぱり陸を事務の仕事にして良かった……」
「1人じゃ大変だった?」
「仕事は大丈夫だけど、陸が見える所に居ないと不安で堪らなくって……」

俺は、浮気なんかしないのに。

そんなに、信用出来ないのだろうか。

そう考えたら少し寂しくなる反面、狂った程の嫉妬が快感に感じてしまう。

ミチルは俺が居ないと、普通を保てない。

そんな気がするんだ。

結局、この日はずっとミチルと共に過ごした。