光を掴んだその先に。─After story─





そわそわ、おどおど、きょろきょろ。

おろおろ、びくびく。


そんな擬音が本当に音になって出ているのかなってくらいに、私は朝からぎこちなかった。

そりゃそうだ、だって……。


───今日は私の誕生日。



「19時までには帰ってくる」


「…うん」


「絃、そこに俺はいない」


「……え。」



……あ、本当だ。

私はどうやら壁に返事をしていたらしい。


クルッと向き直されると、覗き込む甘い瞳はふっと柔らかく伸びた。



「今日は陽太にも会うんじゃねえぞ。…俺のことだけ考えてろ」


「は、はい…」



どうしよう敬語になってしまう。

だってそんなにも甘い声で、甘い台詞を朝から言われてしまうなんて…。



「んっ…」



気絶してしまいそうだ───…。


この調子だと今夜どうなっちゃうんだろう。きっと想像するよりもずっとずっと甘いものだから。

ほら、今みたいなキスだっていつもとは全然ちがう。



「んん…っ、絃織…、集まりに遅れちゃうよ、」


「…もう少し」


「もうっ…」



今にも砕けてしまいそうな腰をぐいっと引き寄せて支えてくれる。

体重を預けるようにぎゅっとスーツの襟を握って、なんとか耐えて。


「っは、」と、熱い吐息が唇の隙間から聞こえたならばもうアウトだ。



「…悪い、やりすぎた」



へなへなと全身から崩れ落ちる私をお姫様抱っこして、ソファーへ運んでくれる。

お見送りしてたはずが逆に戻されてしまった…。