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シャーーーー……。


バスルームから微かに届いてくるシャワー音、カーテンの隙間から漏れるキラキラした光の雨。


ガチャッと扉が開いて、ふわっと微かな香水とシャンプーの香りが届いてくる。

……いや、香水の匂いはもしかすると自分に付いたものなのかもしれない。



「っ…!!ぅ…ぅ”ぅ”ぁ”、」



そんなことを考えれば考えるほどにうめき声が出てしまうから、タオルケットを被って聞こえないようにして何度目か。


寝たふり、寝たふり…。

ギシッと大きなベッドが鳴った。



「っ…」



タオルケットごと抱きしめられてしまった今。

下着姿だから何とも生々しくて昨夜を思い出して、シャンプーの香りに酔いそうになって。


私、きのう息してた…?生きてた…?

なんてバカなことすら考えてしまう。



「わ、私もシャワー…っ、あ、浴びてきます…!」


「…このままでいい」


「汗っ、とか、かいてるから…!」



夏で、夏だし、夏だから。

もちろんエアコンはしっかりと24度をキープ、ちょうど良い爽やかな風が吹いてくれる。



「お前から俺の匂いがする。…だからこのままでいろ」



なんっつー甘い台詞と声してるの…。

だめだ、もう色々キャパオーバー。


もぞっと顔だけ出してみたのがバカだった。

半乾きの髪の毛、上半身裸、引き締まった筋肉、整った顔は優しく「ん?」なんて微笑んでくれて。



「ぅ”ぅ”ぅ”ぁ”ぁ”」


「ふっ、うめきすぎだっつの。腹減ってるだろ、なにかホテルマンに頼むか?」


「…アイス、」


「アイス?」