もう子供じゃないんだよって。
赤ちゃんじゃないんだよって。
そう言われたくて選んだものは、どうやら望んだ通りになってくれたらしい。
「…ん…っ、脚っ、すきなの…?」
彼はまた撫でるように触れてくれるから。
ずっと気になってた質問をした。
「…おまえ限定だがな。それに、」
「ひゃぁっ…!」
「感度も良いらしい」
悪戯な笑みに魅せられて。
彼はワイシャツのボタンをプチプチと片手で外してゆく。
なに食べたんだっけって。
あのパーティーで、私は何してたんだっけ。
「んっ…ぁ…っ、いおり…っ」
「絃、…もっと俺の名前呼べ」
「い、おり、…っ…なぎ、っ、…いおり、」
「…ん、」
ローストビーフ美味しかったなぁって。
なんかサーロインステーキもあったり、たくさんデザート用意されてて。
ケーキなんか3つくらい食べちゃって。
それで、社長さんを蹴ってしまって。
「っは、…絃、…いと、」
今までのこともぜんぶ。
昔のこともぜんぶ、ぜんぶ思い返してた。
施設で絵を描いて待ってたこと。
いつも夢で思い出してたこと。
小学生のとき、似てる男の子に夢の彼を重ねてたこと。
中学生の修学旅行、友達とした恋バナで『私にはずっと好きな人がいる』なんて、確証のない嘘を本気で言ってたこと。
そして高校から帰ったある日、黒いベンツが停まってたこと───…。
「───…愛してる、絃」
いつから私たちは誰にも切れない“絃”で繋がってたの?なんて。
そんなこと考えているときは、もうすでに繋がれてたんだよ。
きっと、最初から。
出会った瞬間から───…繋がってた。



