だめだ、これは何を言ってもだめなやつだ。
だって甘いし熱い。
吐息だってすっごく重い…。
このホテルも単なるビジネスホテルなんかじゃなかった。
そういうことをするホテルだったのだ。
「んん…っ、ゃあ…!」
バスローブの分かれ目から入れられた手が太腿をなぞった。
この人はよく脚を触る。
込み上げる電流に耐えつつも、なんとか身じろいで逃れようとして。
「まっ、て、いおり…っ」
「…もっと呼べ」
なんっつー甘い声……。
耳から溶けて、全身へと向かって、へにゃりと腰が砕けてしまいそうで。
響くリップ音。
ひとつひとつを溶かしてゆく柔らかい唇と舌。
「いおりっ、だめ…ってば……っ」
確かに今日は女の子の日じゃない。
正直、前回も違った。
だから身体は準備できてる。
でも、心は───…
「し、下着…っ」
それはバスローブの紐をほどかれたとき。
胸元は露になっていたけれど、まだ下着が見えるほどではなかった。
とろけてしまっている全身の中、必死に私は心と想いを手繰り寄せて。
そして「ひっくひっく」と泣き声が聞こえたならば、昔赤ちゃんを世話していたその人が止まらないわけがなく。
「…そんなに…嫌か、」
「ちがうのっ、下着、下着…っ」
「下着?」
「見せたくて…っ、買ってたのっ、大人っぽいやつ…!」
あんな大人なランジェリーショップ初めて入った。
そもそもランジェリーショップで下着を購入したのだって初めてだ。
メイクをしてワンピースを着て。
お料理を作って、もし私が成人してたらお酒だって買ってたはずだ。



