「もうっ!これなに!?ここのホテルにクレーム入れてやるっ!!」
クレーマーになんかなりたくないけど、これはおかしい。
こんなのはおかしい。
「無駄だぞ」
「なんでっ」
というかいつまでその姿で立ってるつもりなの、この人っ!!
目のやり場に困る…!!
そんなことをしていれば、うずくまる私に近づいてきた。
「俺たちはこれから、今のと同じことをする」
「……え……?」
いまのと、おなじこと…?
テレビでやってた映像…って、こと…?
ポタリと彼の髪から滴る水滴が肌に落ちた。
そんなものをポーッと見惚れるように見つめてしまえば、いつの間にか唇が重ねられていて。
「っん、…っ!」
あぁ……どうしよう。
今日のこの雰囲気は、またあの日のものとは少し違って。
ドキドキ、ドクンドクン、そんな心臓の音が聞こえてくるみたいだった。
あ……ちから、…でない……。
「、絃織…っ、」
そのまま抱き上げられるけど、その動きはどうにも前のような焦りは感じられなかった。
まるで覚悟を決めて、確実に今日だけは迷いがない眼差しで。
ピタッと吸い付く肌から微かに弱まっている香水の匂い。
「ぁ…っ、まって絃織っ」
「…なんだ」
動きは止まった。
一応は聞いてくれるらしい。
けれどその熱を含んだ目は、「止まるが、やめはしない」と言ってくる。
前回と違うことは、そう。
理性があるってことだ。
その上で、彼は今行動している。
「えっと、お腹空いちゃって、」
「寿司食ったんだろ」
「あっ!就職決まったの!へへ、それでね、寮が完備されて───っんぅ…!」



