「あっそうだ!カラオケできるんだよね!映画も見れるって書いてあったっけ!」
こういうときは気分をリラックスさせることが一番。
カラオケだってぜんぜん行ってない。
確か絃織は歌が上手だったから、歌ってもらえるんじゃないか。
ピッと、リモコンを付ける。
「……え、」
壁に貼り付いた大きなテレビ画面には、裸で重なり合う男女がなぜか映っていて。
女の人は今にも逆上せそうな顔をしながら、覆い被さる人を受け止めていて。
キスをして、触れ合って、音を出して、男女の甘い声が響いて。
「っ…!?!?なんで!?なにこれ!?!?わーーー!!!ごめんなさいごめんなさい…!!!」
誰かのそういう行為を覗いてしまったような気持ちになって、思わず土下座。
どこかの監視カメラがこのテレビに繋がってたりするの…?
「わぁっ!!これ音量ボタンっっ!!」
やばい、パニックだ。
適当にリモコンを操作したら音量は莫大なものになってしまった。
その甘い声といやらしい音と、なんかもうとにかくすっごいの…。
「絃織っ!助けてっ!!ぅわぁぁぁんっ!!」
すぐにガチャッと脱衣場から現れたその人。
「…っ!!ぎゃああああ…!!」
上半身裸、腰に巻いたタオル1枚、水滴の落ちる綺麗な黒髪。
引き締まった肉体美。
そして白く透き通るような肌。
今度はそんな男が目の前。
「なんで裸なの…!?」
「まだ身体拭いてる途中だったんだよ。お前が泣くから急いで出てきたってのに」
「いーから服着て!!それとこれ消してっ!」
あんあんと、女の声が充満する部屋。
もうカオスだ……。
いろいろツッコミどころが多すぎる…。
耳を塞ぐように踞っていれば、いつの間にか静けさが広まった。
大きなテレビ画面は再び真っ黒。



