はっ、これじゃ涼風に、俺はあんなこと言っておきながらホントは恥ずかしいのでは、って気づかれちゃうじゃん!


「え~、それは名前を呼ぶ機会が無かったからだよ。うん、そうだよ。」


慌てて、言い訳する。そしたら陽が、目をパチパチさせながら、


「そっか」


と言った。
ギリギリ、バレんかった~。あっぶね。
 

「安心して、あれはほんの冗談だから。」


だから、涼風の言ってるその目が笑ってないんだって!
陽を間に挟んでいるが、コレは明らかに俺と涼風の間で”バチバチっ”という、エフェクトがかかっている。絶対にこいつ、ライバルだ。一応気をつけなくちゃな。


「今日改めて思ったんだけど、やっぱり可愛いよね、陽ちゃん。」

「ありがとう。」


え、いつの間にか、涼風が陽のことを名前で呼んでる!!ここは、俺の存在をアピールせねば。


「陽は、渡す気ないから。」


しっかり、俺は、陽を奪われないように、守りをする。

涼風は意外と、攻めてくるところがあるから、少しでもスキができたら、すぐに陽を取られる気がする、、、。こんな感じの会話は、しばらく続いた。
ちなみに陽は、涼風にも俺にも、


「そんなこと言ってくれるなんて嬉しい」


と、言ってくれた。確かにこれは、(多分)涼風も、俺も、隠しておいただけで、全部本音だけど、、、。

はぁ~、陽の反応はいちいち可愛いんだよな。
そんなこんなでデパートを出てから、5分後には、陽の家に着いた。


「あ、私ここが家だから。じゃあね!」


と、陽が言いながらニコニコ笑顔で陽が手を振った。かわいい、、、。思わず俺は、へにゃっと笑ってしまった。

ちなみに、陽の家はおしゃれな白い家だった。庭には、きれいなお花がたくさん咲いている。陽が、手入れとかしてるのかな、、、。

陽と別れてから、俺と涼風の二人で帰り道を歩いていた。はたから見れば、食料品の入ったやたら大きなエコバックを持っている男と、おしゃれな紙袋(おそらく、中に陽からのプレゼントがあるのだろう)を持った男が、無言で並んで歩いているのは不思議だったと思う。


「ちなみに涼風は家どこなんだ?」


特に話すこともないので、俺は聞いてみた。


「えっと、もう少し行ったところかな。」

「ふぅん。」


やべ、話すことが無さすぎて、気まずい。
しばらく沈黙が続いた。何か話さなくちゃと、俺はきりだす。


「あのさ、涼風って、陽のこと好き?」

「好きだよ。」