「えっとね、こないだの体育祭の時だよ。」


陽が少し頬をピンクに染めながら、言った。


「へぇー、そうなんですね。」


こんな感じで涼風に根掘り葉掘り聞かれた。陽は少し恥ずかしかったようだが、俺はそんなそぶりをちっとも見せないように、余裕のある彼氏風にしていた(ほんとは、くっそ恥ずかしかったけど)。


ーピピピピピ


お、来た。やっと鳴ったぜ、呼び出し機。これで、涼風の無限質問地獄から、解放されるぅー!!


「じゃ、私もドーナツ買ってくる。」


優しい陽は、俺らの呼び出し機が鳴るまで、ドーナツを買うのを待っておいてくれたのだ。


ーピピピピピ


立て続けに涼風のも鳴った。


「僕のラーメンも、できたみたいです。」


各々食べ物を取りにそれぞれの店の方に行った。

ーパクッ


「うーん、美味しい~。」


陽の笑顔は、みている方まで幸せな気持ちになれる。


「しゅうくんも、食べなよー。」


はっ、うっかり陽の横顔に見とれて、うどん食べ忘れてたぁー。


「あ、そうだね。いただきます。」


キチンと手を合わせてから、食べ始める。(ちなみに、涼風は、誰よりも早く食べ始めてました。)


「しゅうくん、この後まだデパートで買うものある?」

「うーん、ないかな。」


俺の向かいの席、涼風の隣の空いている椅子のみんなの荷物コーナーにでかでかと陣取っている、俺のエコバックがある。中には、食料品。


「じゃあさ、家まで一緒に帰ろう!」

「いいよいいよ!」


よっしゃ!陽と二人っきりになれるチャンス☆


「涼風くんも一緒に。」


陽のお人よしさくれーつ。そこは2人で行きたかったぁー。でも、そんなところも、好きだぁー!!


「せっかくなんだし、二人で帰ったらどうですか。」


涼風、ナイッスゥー!!あざっす!


「え、せっかくなんだし、3人で一緒に帰ろうよ!」


いやいや、そこは二人で帰るってことでいいでしょ。


「じゃ、そうさせてもらおうかな。」


いや、そこはお前も断れよぉー!せっかく二人きりになれるチャンスがぁー。

しかも、涼風けっこうモテてるだろ。なんでピンポイントで陽と友だちになったんだ?
、、、あれ、俺は嫉妬しているのか?いや、よく考えろ、俺は陽の”彼氏”だ。すでに、戦いに勝っている!だから、心配する必要などない!!さっきも、同じこと考えてたのにもう忘れたのか!!

それに、今日はもともと会える予定じゃなかったんだ。それなのに、会えただけで十分幸せだ。