「いるよ。昼飯食べて帰るつもり。」


せっかくデパートきたんだから、フードコートで食べて帰ろうと思ったのだ。ちょっと混んでるかもしれないけど、広いし。

陽が、小さい声で何か涼風に聞いてから、俺の方に向き直って言った。


「じゃあ、もしよかったら一緒にお昼ご飯食べて帰らない?せっかく、会えたんだし。」


マジですか!!陽の真ん前で、昼飯食べられるなんて嬉しすぎる!、、、でも涼風がいるんだった。いやいや、それでも十分幸せだ!


「うん、いいよ!」

「やった!それじゃ、私たち、誕プレ選ばないとだから、、、またあとで。あっ、そうだ、えっと、12時半くらいにフードコートいるね。」


陽がそう言って、手を振った。


「おう、分かった。じゃあな。」


俺も手を振り返す。

陽の横っちょで涼風がペコっとお辞儀して二人は買い物に戻っていった。

それにしても、なかなかかっこいい奴だったなぁ。あいつが陽のこと狙ってたらヤバイ。俺、負けちゃうかも。そのくらいにイケメンだ。”THE・さわやかボーイ”って感じ。

でも、俺が考えたところで何か変わるわけではない。それに友だちの多い陽だ。ああいうことも、意外としょっちゅうなのかもしれない。そう思ったら、心の中が少しスッキリした気がした。

しかし、それはあくまでスッキリした”気がした”だけであった。やはり目の前で見るとまた心がもやもやぁっとしてくるのである。


「しゅうくん何頼む?」


陽は俺の隣に座り、涼風は陽の前に座った。

今は、三人で何を食べるか選んでいる最中。


「俺は、うどんにする。」


向かいにある看板を指さしながら、俺は言った。これが、陽と二人っきりだったら、もっとよかったのに、、、。


「僕は、ラーメンにします。」

「私は、、、ドーナツでいっかな。」


、、、かわいい!昼飯にドーナツは可愛いすぎる!!(俺が恋愛未経験者で無知すぎるだけで、女子はみんなドーナツを頼むのでしょうか。)
注文して、届くまでの間、俺たちは涼風に色々聞かれた。まず第一声が、


「二人って、いつから付き合い始めてたの?」


だ。ニコニコ笑顔、普通の男子よりほんの少し甘い声だ。

いや、初対面でいきなりこれはないだろっ!(おそらく)同級生なのにやたら穏やか口調で、超さわやかスマイルだったので紳士的な奴だと思ったが、こんなことを聞いてくるってことは、少なくともそうではないな。

涼風のことは、何と言ったらいいか、、、。少女漫画に出てくるような(←昔、妹からしょっちゅう語られました)あざとくて、可愛い系男子(ニコニコ笑顔で超キラキラ台詞を言ってるような)と紳士的男子(ちょっと違うかもだけど)のかけ合わせ、みたいな。俺が、今まであったことのないようなタイプの男子だった。