ふわぁ~。まだちょっと眠いなぁ。

俺は、あくびをしながら、デパートに向かっていた。休日だから、ちょっと早め(と言っても朝の十時くらい)から行って、一人で服を見たり、本を買ったり、最後は食料品でも買って、家でちょっと手の込んだ何か作ろうと思っていた。

今日はサッカー部も休みだったし、蒼と優斗とはわざわざ混んでいる今日にどっか遊びに行かなくてもいっか、ということになったのだ。

でも、午後からでもよかったかもな。もうちょっと、寝たかった。昨日の俺が、セッティングしてしまったアラームが憎い。あんなの絶対起きちゃうじゃん。

デパートに着いた俺は、まずは服屋をウィンドウショッピングする。カッコいい服たくさんあるなぁ、、、でもしばらくは、買わなくてもいっか。

それから本屋で話題の作品などを眺める。どれにしようかな、全部面白そうだから、迷う。でも、お目当てはこっち。こないだ賞を取って、今大人気の本だ。平積みになって置かれている。うーん、でももう一冊くらい買っちゃってもいいかな、、、。

向こうの棚にもいいのあったなぁ、と横を見たとき、仲の良さそうな男女を見つけた。

え、あれ陽じゃん!でも、こないだ付き合い始めたばっかだし、いきなり浮気なんてことは、、、。はっ、なに考えてんだ俺!!陽はそんなことする人じゃない。絶対ない。ただの見間違いだ、そうだ。もう一度目を凝らしてよく見る。いや、明らかに陽だ。隣のやつは、、、知らん!誰だあいつ。そんなことは問題じゃなくて、、、。やっぱり陽は俺以外の、、、。いや、違う!絶対ない!!

そんなことを頭の中で堂々巡りで考えてるうちに、二人が本屋の方にもやってきた。


「あっ、しゅうくんだ!」


陽が手を振る。相変わらずかわいい。

俺も手を振り返す。


「やっほぉー!」

「よう。」


いつもだったら幸せすぎるはずなのに、今日は隣にいる奴のせいで全くうれしくなかった。


「あっ、こちら私の塾友だち。」

「涼風 湊人です。」

「どうも、如月 柊樹です。」


あー、陽の塾友だち、そうだよね。うんうん、なんて言ったって陽の彼氏は、俺だ!そうだ、何も恐れることなんてない!!
でも、なんで二人でデパート来てんだろ、、、。


「今日ね、湊人くんの誕生日なんだ!だから、誕プレ買おうと思って。」


陽が(俺の気持ちに気づいていたわけではないと思うけど)そう言った。

二人とも、そこまで仲いいの!?え、置いてけぼり食らった気分、、、。


「もしかして、こないだ言ってた彼氏?」

「そうだよ!」


ちょっと照れくさそうに、陽が言った。


「あっ、しゅうくんってお昼くらいまでデパートいる?」